トップページに戻る

バンコク便りー2004年6月号

これは管理者の先輩であり友人であるSさんが毎月発行してくれるバンコク便りです。Sさんの御認許を頂き掲載させていただいています。

サワディー クラップ トゥクコン ! (皆さんこんにちは !)

サワディー クラップ !  アーカート ジープン ペン ヤングライ クラップ ? (日本の天気はどうですか ?)
 こちらタイでは5月中旬から天気がすっきりせず、午後にはスコールが来るようになりどうやら例年より早く雨季に入ったようです。  
タイの雨季での雨はご存知のように、午後突然バケツをひっくり返したような激しい雨が降ってきて、1〜2時間降った後カラッと晴れ上がるのが特徴です。  ところが雨季の初めころは雨の降り方も気ままで、昨日(5/21)や今日などは丸一日雨が降り続き、まるで日本の梅雨のような感じでした。
 雨季明けは10月頃ですので、しばらくは雨と一緒の生活が続きます。  気温の方は雨が降っていることもあって日中はそれほど上がらず過ごしやすくなりましたが(といっても30℃はあります)、逆に湿度が上がって夜などは寝苦しくなりました。  
昨日たまたまテレビを見ていたら東京の気温が出ていましたが、18〜24℃と何んともうらやましい限りです。でも好き好んで来た国ですし、また暑いのは承知の上で来たのですから弱音を吐いてはいられません、体力の続く限り何しろ頑張ります。

 話は変わりますが、先日会社の友人から二人の息子が僧門に入る(出家する)ので「出家式」に出席してほしいと招待状をいただきました。  
こちらタイに来て今回は丸2年(タイ在住は通算7年)になりますが、「出家式」への出席は一度も経験がなかったので後学のため出席してきました。
タイでは男子は一生のうち一度は必ず僧侶にならなくてはならず、また僧侶になって初めて一人前の大人として扱われるといわれていますので、男子にとって非常に大切な行事の一つです。
 出家している期間としてはそれぞれの人の事情もあるのでまちまちですが、今回の友人の息子はまだ大学生とのことで、学校の休みを使って入門するので19日間とのことでした。以前はタイの仏様に関係するカオパンサー(入安居:6月)の日に入門し、オークパンサー(出安居:9月)の日に還俗するというのが一般的でしたが、最近の若者はあまり長いのを好まず短期間で済ませる人が多いとのことです。

 この日は朝7時からまず剃髪の儀式がありました。僧になる二人の息子はあらかじめ身を清め、真っ白な僧衣を身に付け座していました。 高僧(位の高い僧)の読経の後、丁度日本 の相撲の断髪式のように二人の息子の髪の 毛を両親、親戚、知人、友人の順に少しず つ切って行き、最後にお坊さんがかみそり で残った髪の毛と眉毛をそり落としました。
 その後8時頃からいよいよ出家式が始ま りました。まず高僧の読経が30分位あっ て、読経が終わると入門に関するいろいろ な注意事項の話(多分そんなことをいって いることと思います)があり、この儀式は これで終了です。久し振りに我慢をして正座をしていましたが、直接大理石の床の上に座ってい たため、足は完全にしびれきってすぐには立てませんでした。
この後両親、親戚、知人、友人などに祝福されしばらく歓談の時間があった後、参列者全員による二人のための祝福のパレードがありました。  このパレードの先頭には6〜7人の踊り手がいて、その後に楽団(タイの各種楽器を 持った人々)がいてタイの賑やかな音楽を演奏し、これに合わせて派手な踊りを披露していました。そしてその後ろに参列者全員がそれぞれお供え物や花を手にして並び、お寺の本堂の周りを賑やかに3周ぐるぐる回りました。
 私もこのパレードに加わり本堂の周りを回りましたが、お祝いである「出家式」のこの行事のすぐ脇でお葬式が行われていて、何かすごい違和感を感じました。  
この出家式への出席者は聞くところによると700人以上とか、タイ人の出家に対する思いは結婚式と同等、いやそれ以上ではないかとも思えました。  

このパレードが終わるといよいよお待ちかねの「大食事会」です。  お寺の一角にある大きな広間(といっても壁はありませんが)を借り切って丸テーブルを並べ、上手(かみて)には大きな舞台があって女性ダンサーが賑やかなダンスを踊っていました。そして何よりもびっくりしたのは丸テーブルの数で、少なく見ても50卓以上はありました。(大食事会に出席した人は少なくとも500人はいたと思います。)
 あとは食事をしたり酒を飲んだり話し合ったりして、4時間ほどで終了したようです。  といいますのは、以前結婚式の披露宴での「お開き」のことを書きましたが、ここでもまったく同じで「お開き」の挨拶がないので長居をする人はいつまでも残っているので、主催の当事者(両親)はいつまでも会場にいなくてはならず、また終わりがいつになるのか分かりません。
私は3時ころ帰宅しましたが、会場にはまだ半分くらいの人が残ってわあわあやっていました。  ちなみにこの出家式の総費用は約35万バーツとかで、日本円に換算すると約100万円 で皆さんはたいしたことはないとお思いでしょうが、こちらタイの物価は日本のおよそ1/3から1/4ですので相当な金額となるわけで、タイ人の出家に対する思い入れが如何に大切なものであるかがお分かりいただけるかと思います。

 僧侶の話が出ましたので、ちょっとこれに関連する話題を書いておきましょう。  タイの僧侶は早朝托鉢に出ますが、身には黄色の僧衣(黄衣…チーオン)をまとい、胸に鉢(バーツ)を抱えて家を一軒一軒まわって、人々からタンブン(ご飯、おかず、汁物、果物、お菓子などの寄進)を受けます。  一般的には僧侶と一緒に、タンブンされたものを持ち歩くため手助けをする寺男(デック ワット…子供の場合が多い)がついてきます。  僧侶は原則として一日に2回(朝食と昼食)食事をとりますが、寺に持ち帰った食料を 2つに分けその一つを朝食として食します。また寺では日中は読経(スワット モン)に明け暮れしますので、期間にもよりますが入門したことのある人は大体お経は唱えることが出来ます。  お経は日本のものとは全然違っていてちんぷんかんぷんですが、聞くところによると仏教がインドから伝わったためパーリー語(インド語)が基本だそうです。  お経はタイの日常の生活に溶け込んでいて、結婚式・葬式・出家式・落成式その他タイ古来の行事などあらゆる場で僧侶がお経をあげています。

 私のいる工場でも暮れや中国正月、ソンクランなどにお坊さんを呼んでお経をあげて  もらい、安全や商売繁盛などを祈念してもらっています。 またこのようなときには必ずタンブンがありますが、たとえ小額(物でも良い)で  も協力すると皆に喜ばれます。 日中バスに乗ると入り口近くに僧侶の席があって、空いているときは誰でも腰掛けて良いのですが、僧侶が乗ってきたときには譲らなくてはなりません。  
また僧侶は政府の公共機関の乗車賃は全てただです。  以前書きましたが、タイの国旗は三色旗で中心に国王(紺色)がいてその周りに仏教(白色)があり、さらにこれを国民(赤色)が擁護しているというものですが、タイではこのようにして皆が仏教(含む僧侶)を大事にしているのがよく分かります。

 話は変わりますが、先月「地下鉄」のことを書きましたが、どうしても地下鉄に乗りたくて知り合いに頼んでやっとのことで地下鉄の「試乗券」を入手しました。  指定された日時は、5月27日(木)11:30~13:30の2時間の間に乗車できるというものでした。当日はウィーク デイでしたので1日休暇をとって乗りに行きました。  どこからか「物好きだねー」という声が聞こえてくるようですが、・・・・  ところが指定された場所に行ったのですが、シャッターが閉まったままなのでガードマンにわけを聴いたら「車両の調子が悪いので試乗会は延期したよ」という返事でした。
 「じぁー、いつ乗れるの?」と聞いたら、入り口のところの垂れ幕を指差して「5月27 日の予定の人は、6月24日だよ」といわれました。  なるほど垂れ幕には今回のそれぞれの試乗予定日がいつに延期になったとズラッと書かれていました。私の後から来た人も「何で乗れないの」と食い下がっていましたが、どうしようもありません。多分新聞か何かには延期のお知らせがあったのかもしれませんが、タイ語の読めない私にとっては「どこ吹く風」といった感じです。
 結局この日は何もしないまま家に帰ってきました。本当に無駄な一日でした。  家に帰ってから改めて「アーッ! これがタイなんだな」とつくづく思いました。  いずれにしても来月また1日休暇をもらって地下鉄に乗りに行くつもりです。

 ちなみに正式開通は6月という人もいますが、様子から見てどうやら8月のようです。


(今月の話題)  今月は「教育、スポーツ関連」について触れて見たいと思います。  まず「教育」ですが、タイの教育制度は基本的には日本と同じ「6-3-3-4制」ですが、違うのは義務教育が小学校(タイ語では「プラトム」といいます)だけで6年間です。  中学校(マッタヨム トン)は3年、高校(マッタヨム プラーイ)は3年、普通大学(マハーウィタヤーライ)は4年、短大(専門学校:アーチワッ スックサー)は2年となっています。
 タイでは大学進学率が年々高くなってきていますが、それは都市部中心で農村では義務教育を終えてすぐ働く子供も少なくありません。
 町の食堂や町工場などで働いている子供達は東北タイなど田舎から来ている子が多く、中には義務教育もろくに終わっていない子もいます。
 タイは貧富の差が日本では考えられないほど大きく、田舎などの貧しい家庭ではその日の食べ物にも事欠くことがあって、義務教育中の小さな子供でも学校を辞めて、家計を支えるため働きに出ることが今でも多くあります。
 ただタイでは昔から男子は一生に一度必ず僧門に入ることになっているため、お寺で 必然的に学習するので、いわゆる文盲の率は他の東南アジア諸国と比べるとぐっと低いといわれています。   

タイでの最高学府は「チュラロンコーン大学」です。ここは王室の方々も在籍するところで日本の東大に当たりますので、入学試験も難しくかつ卒業のための単位取得も日本の大学以上といわれています。 (チュラロンコーンという名前は、タイの第5世国王の名前です。)ここの大学は格式が高いこともあって、普通の大学は「○○マハーウィタヤー  ライ(○○大学)」といいますが、この大学だけは名前が「マハーウィタヤーライ チ ュラロンコーン」と語順が逆になります。

タイ国は経済や企業関係を華僑がほとんど抑えているので、純粋のタイ人で偉くなろうと思うと「チュラロンコーン大学を出て役所に勤めることだ」とさえいわれています。  
そして二番目に有名なのは「タマサート大学」で、日本の京大に相当します。  ここは法律関係に強いことで有名です。またこの大学の教養学部には日本語学科があって、日系企業に入社を希望する人が1年生から大学院まで総勢150人位いるそうです。  
タイの学校には「公立」と「私立」がありますが、幼稚園から高校までは私立の方が 施設も良く、またレベルも高いので親には人気があります。  
特に大学付属の学校は競争率も授業料も高いため、お金持ちの子弟しか入れません。  登校、下校時には校門付近に送り迎えのためのベンツ・BMWなどのハイクラス カーの列が続き、交通渋滞の原因の一つにもなっています。  

次に「スポーツ」ですが、タイでのスポーツの筆頭として上げられるのは「サッカー」 です。(タイではサッカーといわず、「フット ボーン」といいます。)  10チャンネルあるテレビ放送で、必ず2~3チャンネルは「サッカー」の放送です。  またタイ人は「サッカー」をやるのも好きで、我が工場でも暑い暑い昼休みや定時後に広場で汗だくだくになって遊び興じています。  
先日はタイのタクシン首相がヨーロッパのサッカー チーム「マンチェスター」を買収するとかしないとかで話題になりましたが、ひょっとすると実現するかもしれません。  
二番目には「タクロー」ですが、先月号でこのご紹介をしたので割愛します。  その次に意外と人気があるのが「テニス」です。  
理由はタイのテニスの選手で「パラドーン」という人がいますが、世界ランキング第何位という上手な人ですので、人気が上がるのも当然かと思います。  
後は「バドミントン」「玉突き(ビリヤード)」「ボーリング」「ゴルフ」と続きますが、何といっても根強い人気があるのは「タイ 式ボクシング (ムエ タイ)」です。  
このタイの国技でもある、史上最強の格 闘技とも称されるムエ タイは、「ルンピニ スタジアム」と「ラジャダムヌーン スタジ アム」の2つの場所で見ることが出来ます。(1日毎に開催場所が変わります。)  
基本的にはキックボクシングですが、試 合前の独特の儀式が神秘的な雰囲気をかも し出しています。またタイでは賭け事は法律で禁止されていますが、ここの現場では  賭けの対象ともなっていて、ボクシングの盛り上がりと同時に賭けの熱気も極度にヒートアップし、株式の場立ちのような騒然たる雰囲気になります。
 私はボクシングはあまり好きではありませんので、まだ一度も実際の試合を見たこと  はありません。上の写真はテレビから撮ったものです。   それではまた来月お目にかかりましょう。 ポップ カン マイ ナ クラップ

トップページに戻る