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イングランド湖水地方

湖水地方への旅(日本出国からエジンバラへ)

●2003年8月8日(金)
その日の自宅の空はどす黒い雲が、流れていた。息子の車に乗った我々夫婦は留守の間の事をくれぐれも頼んで、 JR静岡駅に着いた。
新幹線が遅れているとのアナウンスがあり、一瞬、ヒヤーとしたものが頭をかすめた。
“もし、新幹線が遅れたり、止まったりしたら困ったな“
でも、数分遅れで到着した車両は徐行しながら、風を伴う大雨の中を、東京へと出発してくれた。
トンネルを過ぎて、富士川の鉄橋を渡る時、信じ難いが青空が見えていた。
そのまま東京に定刻に着いた新幹線、そして、成田EXPRESSに乗って成田空港に着いたのは、 予約した時間にぴったりの時間であった。

大型の台風が四国沖にいる事をTVが放送していたが、成田発 JL401便 (12:00発)は順調に飛行し、 私たち夫婦を無事にヒースロー空港に時間通りに運んでくれた。そのまま入国手続きの後に、国内便の BA1458に乗り換えた。
国内線空港は10年前にここに来た時とは大幅に変化していた。
ヒースロー空港はターミナル間の移動もややこしいし、まして国内空港へのアクセスは昔の記憶とは大きく 変化していた。でもなんとか到着したのは出発時間の1時間も前でありました。
そしてヒースローからエジンバラへ1時間強で到着した。時刻は現地時間19:30でありました。
空港には、デビッドソン夫人(以下Nさんと称す)が出迎えてくれた。

Nさんは先日、日本に来られた時に、我々の案内をしてくれると、お約束してくれた親切なご婦人です。
彼女が以前、予約をしてくれたエジンバラのホテルに到着したのは20時30分でありました。

今はエジンバラ国際フェスティバルの真っ最中であるので、ホテルのBOOKINGには相当尽力していただいたと 感謝しています。
エジンバラのこの時間はまだ明るく、緯度の高さを証明してくれていました。 (実際はカムチャッカ半島の根元くらいの緯度)
日が暮れて回りに灯火が点くのは午後9時30分くらいかな? いよいよ、今回の記念すべき旅行の始まりであります。
エジンバラはたまたまフェスティバルの真っ最中で、各種のイベントが街中で行われていて、 とても楽しみであります。
大都会なのに、どこかゆったりとした時間の流れを感じさせるこの街は中世のスコットランドの面影が 数多く残っているところです。2度目の訪問ですが、今回はカミさんと一緒だ。
大いに、このエジンバラを味わってみよう。寝る前にスーパーへ行き、水とドーナツを買い込んで、 BEDに入った。(私は熟睡、後から聞いたがカミさんは寝不足だったようだ)
バルモラルホテル          エジンバラ駅前
左の写真は朝の散歩の途中、メイン道路であるプリンセズ通りをカールトン・ヒルの入り口からバルモラルホテル(時計のある建物)方向を眺めたものである。本当にすがすがしいエジンバラの街並みであった。(2003年8月9日撮影)
右の写真はホテルから出て、エジンバラ駅(中央の三角形の建造物の下)の方向にゆっくりと歩く。中世の面影を味わえる街並をゆっくりと歩く・・・(2003年8月9日撮影)

● 8月9日(土):エジンバラから湖水地方へ

朝、5時には目が覚めた。カミさんを市内の散歩に誘うと快い返事が返ってきた。
6時にホテルを出た。
二人で、市内をゆっくりと歩き始め、エジンバラの朝の雰囲気を味わった。
Queen streetをゆっくりと東に歩いていくと、真正面の空が白々と明るくなってきた。
ただ歩いているだけでもすばらしい中世の面影があるのですが、思い切って、カールトンヒルに 昇ろうと思い立った。ここはエジンバラの市内を見渡せる、すばらしいロケーションである事を事前に インターネットにて知っていましたから。
カールトンヒル          カールトンヒル
左の写真はカールトンヒルの頂上にある国家記念碑・・まるでアテネの神殿・・ここから朝日が昇る。この美しさに時間の過ぎるのを忘れる・・・・・・早起きは三文の得でした。こんなにすばらしいエジンバラの風景に出会えましたから。観光のガイドブックにも無いような美しさでした。(2003年8月9日撮影)
右はカールトンヒルからエジンバラ市内を望む。時計のある建物が上の写真のバルモラルホテル、その左に見えるのが世界遺産のエジンバラ城。このエジンバラ城にはカミサンと後で訪れた。(2003年8月9日撮影)

丘の上までは約10分ほどで到着いたしました。ここはお奨めですよ。 途中、エジンバラの街並みを振り返りながら、ゆっくりと昇っていきました。
朝のひんやりとした風が頬に気持ちよく感じます。
エジンバラに来たんだなあ、と言う実感が沸いて参りました。
丘の上には数名の男女がいました。ご承知のようにここには、ギリシャ神殿みたいな建物と、 ネルソン提督の記念塔が建てられています。
朝日が、神殿の柱の角から昇って来る様は、神秘的な神々しさを感じました。
その朝日がネルソン提督の塔を照らし始めると、エジンバラの市内が徐々に、その朝日で光ってきます。
朝の散歩にしては、本当に優雅で、思い出深い散歩でありました。
ホテルに帰ると朝食が待っていました。 お決まりのブレックファーストですが、思っていたよりは数段おいしく、いただきました。

今日は湖水地方へ列車で往復の予定です。
事前にNさんが我々の為に、出発の列車の時刻、そして乗り換えの列車の時刻とか現地のツアーの申し込み などをしておいてくれました。
午前7時にはNさんが我々の部屋まで迎えに来てくれました。
朝7時30分には、ホテルをでて、エジンバラの駅まで歩いていきました。この小さな旅はアクシデントの連続で、 忘れられない思い出深いものになろうとは、その時には思いませんでした。
土曜日の休日で駅は閑散としていました。比較的のんびりとした構内には旅行者がベンチに座っていました。
Nさんは私たちの為に朝食も取らないで来てくれたらしく、駅の売店で、サンドウイッチみたいなものと飲み物を 買い込んでから、列車に乗り込みました。
我々だけ朝食を取らせていただき感謝、感謝です。申し訳ない!
エジンバラ駅          Oxenhole駅
左の写真は朝のエジンバラ駅構内です。休日の朝ですので静かでした。通常はここは通勤客でごった返すのだそうです。Londonからもここへ着く列車があります。(2003年8月9日撮影)
右の写真は湖水地方への乗り換えの駅であるオックスホルム駅です。のんびりとした風景は私のせかせかした日ごろの生き方に疑問を投げかけてくれました・・・・(2003年8月9日撮影)

列車は快適に朝のスコットランドを走り始めました。車窓にはスコットランド特有の牧草を食む羊たちの集団が 点々と目に飛び込んできます。
きれいな丘と牧草と並木の風景は、この御国の特徴ですね。
ぺちゃぺちゃとおしゃべりをしながら、1時間を過ぎるくらい乗りますと、乗り換え駅である オックスホルム・レイク・ディストリクト(Oxenhole)駅 に到着いたしました。
ここからウインダミアまでは単線であります。待ち合わせにプラットホームの中をぶらぶらすると、 きれいなお花が植えられています。小さな駅ですがこぎれいに整備されています。
日差しは痛いくらいまぶしく、肌に突き刺さります。地元の人は日なたのベンチで列車を待っています。
我々は日陰で気持ちのよい風を胸に吸い込みながら待っていました。
まもなくローカル列車が到着し、我々をウインダミアまで運んでくれました。
ウインダミアの駅は小さなかわいい駅でした。
ウインダミア駅          ボウネス・オン・ウィンダミア
左の写真はウインダミア駅の全景です。こんなに小さな駅です。この駅の隣にi(観光案内所)があります。その向かえ側にツアーの受付事務所がありました。日本語で表示されていました。会話は英語ですよ。(2003年8月9日撮影)
右の写真はボウネス・オン・ウィンダミアの湖畔です。白鳥が泳ぎ、観光客は短い夏を謳歌していました。この左となりのレストランで昼食をとりましたが、おいしかったですよ。・・・・・・・(2003年8月9日撮影)

こんな小さな駅なのに人気があるのですね。この駅の前からツアーに参加するのですが、出発時間が 午後1時過ぎですので、それまで湖畔を散策しながら昼食を取る事にしました。
湖畔の町ボウネス・オン・ウィンダミアまでバスで行ってみました。
可愛い店が立ち並び、ホテルやレストランが多く、湖では観光クルーズが盛んに発着していました。
湖畔には白鳥とか、かもめが飛んでいて、のどかな中にも活気がありました。(上記の写真参照方)

ちょうどこの時期はイギリス国中が夏休みですので、多くの観光客がここ湖水地方に、来ているのです。
日本人はほとんど見かけません。 昼食は湖畔のレストランの中で湖が良く見える席を確保して、3人でおいしくいただきました。
以前イギリスを訪問した時には食事がまずいイメージがあったのですが、今朝の食事も今回の昼食も大満足でした。
ウインダミアの駅前に戻ってツアーを申し込んでバスに乗り込みました。
ツアーは我々3名とたまたまロンドンに留学されている日本女性の1名を加えた4名でした。

まずツアーバスはウインダミア湖のほとりを快適にドライブをしました。でも残念なことが一つありました。
それはこのツアーバスはエアコンが無かったので、止まっているときには暑く感じました。 走っている時にはそれなりに、誤魔化せましたが、この日は本当に暑い一日でした。
そして最初にワーズワース・ハウスに立ち寄りました。 この地はワーズワースをはじめ、多くの詩人を生み出し、ロマン派の作家に影響を与えたところです。
その意味で続いてグラスミアに到着しワーズワースのお墓を見学しました。
ワーズワース・ハイス           ワーズワースのお墓
左はワーズワース・ハウス(2003年8月9日撮影)
右はワーズワースのお墓(2003年8月9日撮影)

ここで半生を送った、ベアトリスク・ポターによって、書かれた“ピーター・ラビット”の話はイギリスでは 小さな子供に必ず読んで聞かせる絵本であります。
世界で一番有名なウサギ、ピーター・ラビットの作者ビアトリクス・ポターが住んだ湖水地方は、 自然環境保護団体であるナショナル・トラストの管理の下で、ポターが作品を書いた100年前とほとんど同じ 自然の景観を保っているそうです。

Hill Top        Hill Top 
左の写真はベアトリクス・ポターの住んでいたHill Top である。ここであの絵本を書いたのです。多くの観光客がいましたがたまたま、その集団が途切れた時にシャッターを押しました(2003年8月9日撮影)
右はHill Top の前です。そのままウサギが飛び出てきそうな錯覚を起こしそうな風景です。まさにイギリスの田舎の風景としてはおすすめの中のおすすめ(2003年8月9日撮影)

ポターばかりでなく、ワーズワースをはじめ、18〜19世紀の英国ロマン派の故郷でもある湖水地方は、 多くの詩人たちがその自然の美しさを称えています。
広大な緑の牧場に石積みの塀、緑の野に映える白い羊、止まった時を伝える静かな湖、そして湧き水が 流れ出る荒涼とした山裾の景色が広がっています。

湖水地方      湖水地方
左の写真は湖水地方で最後にガイドさんが連れて行ってくれた風景(2003年8月9日撮影)
右の写真は湖水地方でも比較的高い山です(2003年8月9日撮影)
ワーズワースやベアトリクス・ポターを生んだ、英国でも最も風光明媚な湖水地方を満喫するツアーで あるとの触れ込みで参加したので期待が大きかったのですが、その期待に見事にこたえてくれたのは ベアトリクス・ポターの住んでいたHill Top と湖の遊覧でした。。
湖の遊覧        湖の遊覧
湖の遊覧風景。気持ちよく船は走ります。(2003年8月9日撮影)

アンブルサイドや細い路地に石造りの家が並ぶホークス・ヘッドにも立ち寄りました。
ここではワーズワースが通っていた小学校を見学いたしました。
とても200年以上前とは思えない小学校の博物館でした。
小学校博物館       ホークス・ヘッド
左の写真はワーズワースの通っていた小学校。この机にナイフで彫ってある本人の名前がある。(2003年8月9日撮影)
右は湖水地方で最も美しいと言われているホークス・ヘッドの中心地の売店です。(2003年8月9日撮影)

ツアーも最後になりかけたときにNさんの携帯電話が鳴りました。なんとご主人からである。
“ウインダミアの警察から電話があった。君の財布が拾得物として届けられている。
今、持っているのかね?””そんなはずないわ”と彼女は確認したところ、確かに財布がない。
おいおい、どこで落としたのだろう?とにかく有難かった。
彼女はご主人との電話はここで切り上げ、急ぎ、ツアーのガイドさんに理由を話してウインドミア警察署へ 行って頂けるようにお願いしてみた。
親切なガイドさんは遠回りを覚悟して警察に行ってくれた。ラッキーな事に彼女の財布は彼女の元に無傷で届いた。
本当にラッキーでした。
この事件はアクシデントの始まりで終わりではなかった。

ウインドミアに着いたツアーバスに別れ、ローカル列車に乗っていよいよ帰路についた。
この列車がなんと冷房装置がないのである。
ほぼ満員の列車は窓も開かない。ムッとした空気とお客たちをそのままオクスンホルム駅まで運んでくれた。
“ああ、しんどかった。” ここからの列車は午前中に乗った冷房つきのはずであったので、がまん、がまんと 言い聞かせて、列車を待った。
ところがである。この列車が1時間遅れると放送があった。この暑い中で長い時間待つのか? イギリスでは良くあることなんだそうです。
そして、さらなるアクシデントはこの遅れてきた列車がなんと予想に反して冷房装置が無かったのである。
しかも窓が全く開かないし、西日は直接車内を照りつける。
車内の売店では水が飛ぶように売れるはず。乗客も“ここは地獄だね”と話している。 よくもこんな状態を我慢できるものだ。
どこかに涼しいところはないかなと思ったが、わずかにあるのはデッキの窓が開くだけ、 デッキと車内との間の扉は自動で閉まっている。そこでこの自動装置を外して、扉を開ければ少しはしのげる。
やむを得ず、ペットボトルを扉に挟み込んで風を車内に呼び込んでみた。体感温度が数度下がった。
隣のイギリスのご婦人もこの効果を認めたみたい。 それでも気は心であった。
ウインダミア警察署         車内
左の写真はウインダミア警察署。運良くここでNさんの財布は彼女に渡った。ありがとう、財布を届けてくださったやさしいイギリス紳士。(2003年8月9日撮影)
右の写真はうだるような車内を少しでも和らげるために私が扉にはさんだペットボトル。このドアーの隙間が我々をなんとかエジンバラまでの列車の旅を我慢させてくれた。(2003年8月9日撮影)
本来は切符のチェックに車掌が巡回に来るはずであったが、車掌はお客の怒りを恐れて、巡回どころではない。
10時近くなってやっとエジンバラに到着した。
折角のディナーの予約をNさんにキャンセルしてもらったのがアクシデントの最後でした。
早々にシャワーを浴びてBEDにもぐりこんだ。
すばらしい景色を満喫したと同時に異常気象の暑さの苦しみを味わった一日になりました。
あとで分かったのですが、この日1日でフランスでは3,000人が亡くなったのだそうです。
8月22日現在のフランス政府発表によりとこの猛暑中に10,000人以上が無くなったそうであります。
日本では暑さで人が死なないのに、・・・・・・。

この続き(翌日)はセントアンドリュウスへのドライブでした。
・セントアンドリュウスへ
この後約2週間、真珠婚記念の夫婦旅行は続きます。


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